FC2ブログ

出身地(イナカ)がわかる方言

以前の本ブログでも話題にしましたが、最近、日本の方言にちょっと興味があります。
 
東京で生まれ育ち、いまも東京で暮らしていると、標準語(または共通語)しかなじみがありません。
どちらかといえば、方言は地域を問わず、テレビなど自分から遠い世界の話、という受け止め方になっています。
これまで周りに地方出身者がいなかったことはありませんでしたが、関西出身者でもない限り、方言を聞くことはほとんどありませんでした。
ただ新潟弁に関しては、両親が新潟出身のため、知らず知らずのうちに聞いてきた可能性は否定できませんが、無意識に聞いているため、なかなか意識しづらいところがあります。
 
こういう言語環境で育ち、暮らしてきたので、自分にとって非日常となる日本の方言について興味を持った次第。
日本の方言についてまとめられた本を読んでみようと思い、最初は気軽に読めるものを、という観点から『出身地(イナカ)がわかる方言』(幻冬舎)を選択しました。
表紙はこんな感じです。
 
出身地(イナカ)がわかる方言 (幻冬舎文庫)
 
 
本書は、2006年から2007年にかけて毎日新聞に連載されていた「呼び名で分かるシリーズ」をまとめた『出身地(イナカ)がわかる!気づかない方言』(毎日新聞社)を改題したもの。
標準語だと思って使っていた言葉が実は方言だったという「気づかない方言」を、データから抽出し紹介しています。
 
データは、気づかない方言が一番発見されやすい東京にいる地方出身者の調査から得たもの。
連載終了後、東京女子大の学生・職員・関係者、都道府県東京事務所職員、毎日新聞東京本社社員を対象に、あらかじめ選んでいた使用度や地域差が大きいと思われる方言について、「いまも地元で使うか」「東京でも使うか」を聞き、東京での使用度が高いものを「気づかない方言」としています。
 
本書は、大きく分けて2部構成になっています。
 
第一部は「えっ! これって方言なの?」。
東京で使われる「気づかない方言」ベスト10をはじめ、ものの呼び名や状態を表す言葉などを都道府県別に「東京でもっとも使う言葉」と「地元で使う言葉」に分けて調査し、その分析結果を紹介しています。
調査結果から、言葉によっては日本各地にいろんな呼び方があり、それぞれ特色があることが発見できます。
 
たとえば、各都道府県出身者が地元で「絆創膏」を何と呼ぶことが一番多いかを調査した結果については、「バンドエイド」(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、岐阜、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、香川、徳島)か「絆創膏」(新潟、石川、福井、静岡)しかないと思っていましたが、なかには「サビオ」(北海道、長野、和歌山、広島)、「カットバン」(青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島、山梨、鳥取、島根、岡山、山口、愛媛、高知、佐賀、長崎、鹿児島)、「リバテープ」(奈良、福岡、熊本、大分、宮崎、沖縄)、「キズバン」(富山)といった具合。
 
ちなみに私の場合、絆創膏は東京出身ながら「バンドエイド」ではなく、「絆創膏」と言っています。
ここにも、新潟出身の両親の影響を受けた結果が出ているのでしょうか?
 
このほか、強調の副詞「とても」や「たいへん」を表す方言も、「なまら」(北海道、新潟)、「たんげ」(青森)、「いきなり」(宮城)、「まっさか」(群馬)、「あんもんかんも」(千葉)、「えーかん」(静岡)、「でら」(愛知)、「むっちゃ」(三重)、「えらい」(京都、大阪、兵庫、和歌山)、「めっちゃ」(大阪)、「ごっつう」(大阪)、「ぼっけえ」(岡山)、「ぶち」(広島、山口)、「ばり」(福岡)、「ばさら」(福岡、熊本)、「がばい」(佐賀)、「いじ」(長崎)、「まーごつ」(熊本)、「むしゃんごつ」(熊本)、「しんけん」(大分)、「てげ」(みやざき)、「わっぜ」(鹿児島)、「でーじ」(沖縄)、「しに」(沖縄)、と想像をはるかに超えるほど多彩です。
こうしてみると、日本語は表現が実に多彩で奥深い言葉だということが実感できます。
 
第二部は「都道府県別 出身地がバレる言葉」。
都道府県ごとに、出身地がバレる代表的な「気づかない方言」を紹介しています。
 
当然、東京も対象になっているわけですが、東京出身だとバレる「気づかない方言」があることを、本書を読んではじめて知りました。
 
東京出身だとバレる「気づかない方言」は「かたす(=片づける)」。
確かに言います。
でも、方言だとは思っていませんでした。
 
「かたす」は辞書にも載っているので標準語や共通語と言ってもいいものですが、どうやら使っているのは首都圏のみ。
アンケート調査に協力した多摩市出身の女性の声として、「茨城や埼玉の友達に聞き返され、東京方言と知りました」を紹介されていました。
東京の場合、山手言葉と下町言葉の違いはあるものの(どう違うかはうまく説明できませんが……)、方言とは認識していないので、残念ながら、東京の方言といわれてもピンとこない部分があります。
 
このほか本書では、「ジャス(=体操服)」(宮城)、「がんぴ(=模造紙)」(富山)、「じゃみじゃみ(=テレビ終了後の砂嵐)」(石川、福井)、「かじる(=爪でかくこと)」(山梨、静岡)、「トキントキン(=鋭くとがらせること)」(愛知)、「ちばける(=ふざけること)」(岡山)、「たちまち(=とりあえず)」(広島)、「おきる(=満腹になること)」(香川、徳島)、「こまめる(=小銭に替えること)」(福岡)、「あとぜき(=扉を閉めて出ること)」(熊本)、「ラーフル(=黒板消し)」(鹿児島)、といった代表的な「気づかない方言」を数多く紹介しています。
 
「がんぴ」や「あとぜき」「ラーフル」のように、意味の類推すらできないものもあれば、「たちまち」のように標準語や共通語が持っている本来の意味とは異なる使い方をするものまで数多くある「気づかない方言」。
使っている側からすれば方言だという認識がないのが「気づかない方言」ですから、調査や分析に手間ひまをかけたはず。
よくも一冊の本にするだけ集めたものだ、と感心します。
 
自分のアイデンティティーを確認できるだけでなく、日本語の奥深さ、表現の豊かさを肩肘張らず気楽に知ることができる点は、本書で一番評価できるところ。
新聞の連載で反響が大きかったのも納得がいきます。
 
出身地(イナカ)がわかる方言 (幻冬舎文庫) 出身地(イナカ)がわかる方言 (幻冬舎文庫)
(2011/03/03)
篠崎晃一、毎日新聞社 他

商品詳細を見る
 
 
関連記事

0 Comments

Leave a comment